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P.T.A―Part Time Art ふつうの人が発信するアートカルチャーマガジン―

劇団どくんごの来年のツアー中止の報に改めて愛を実感する。

劇団どくんごについては、以前このような記事
http://ptart.exblog.jp/20223438
を書きましたが、

それは今年のツアー半ばのこと、
来年の旅公演を中止するとの発表が劇団からありました。

どくんごは各地のファンがボランティアとなり、地元の受け入れ(場所の確保や広報、集客など)をするので、
受け入れ先にとっても「どくんごが来ない!」というのは秋のイベントがなくなる以上の意味があるのです。もちろん物理的な作業もですが、ファンになると春が来るとそろそろどくんごが九州を出発して~夏は北海道や関東で~秋になってそろそろ帰ってくるね~というように季節の変化までどくんごで感じてしまうようになるのです・・・!
しかしそれで改めて、ただの観客をファンを超えて手伝うところまで巻き込んでしまうどくんごの魅力の大きさに気づきました。

劇団どくんごの来年のツアー中止の報に改めて愛を実感する。_c0309568_1325620.jpg
http://www.dokungo.com/

思い返せば数年前、特に前情報もなく、初めて見たテント芝居でしたが、
怪しさ満点のはずだったのにそのまま終わってテントで打ち上げをするアットホームな雰囲気に惹かれたのか、役者さんたちの面白さや舞台後の素の人柄がすてきだったのか、
すっかりはまって何年も見続けることに。

ストーリーは特にないという触れ込みで、メッセージ性があるのかないのかわからなくて、自由に解釈していいのかな、というか解釈すらする必要があるのかもわからないような感じで、
題材は寓話だったり文学だったり、過去の演目を引用したものだったりとわかったりわからなかったりするーー、
と書いていると自分は全くどくんごの演劇をわかっていない様子なのですが、不思議と毎年泣けるくらい面白くて楽しくて貴重な時間なのです。(もちろんストーリーがわからないから好きでないという方もいるでしょう)
そういう理解を超えたところの感覚にダイレクトにくる感動があるのですよね。

どくんごは極めてシンプルに、舞台があって、役者が立って、観客がいて、その空間をいかに役者がパフォームすることで支配するか、言い換えると心をつかむか、ということを突き詰めて実験・実践しているように見えます。だから前述のような元ネタ的なものはあまり明示されず、時に言語すら使わなかったり、言葉遊びのようなアドリブ(つまり発される言葉自体の意味は重要ではない)の応酬が行われたりする。
表現方法も一つの空間で、古典的な一人芝居からダンス、歌、人形劇的なもの、集団でのクイズやゲーム的なもの(見ていないと文章ではあまりわからないと思いますが・・・)など多彩。
さらにテントの舞台上に立つだけでなく、舞台を飛び出して走り去ったり(野外ならでは)、徐々にテントを解体していって外と中の仕切りを外したりと(これもテントならでは)、立体的・重層的に使って、客席から見える空間どう見せるかについてもかなり研究されていると思います。

しかしなんといっても、どくんごというシステム自体が最大の挑戦であると思っています。
劇団員はどくんごを職業として、半年は鹿児島県の山あいで集団生活をして翌年の演目を練り、春になると秋の終わりまで巡業をする、というスタイルです。
助成金を受けているわけでなく、自らトラックで舞台を運んで全国を回り、自分たちの演劇で食べている!
私はこのように芸に文字通り生きている人たちがいることに大変感銘を受けましたが、なかなかできることではありません。それは演劇だけでなく他の文化芸術分野から見ても大変貴重なことです。
その思いや実践する勇気への共感と尊敬、
そしてそういう人々を、芸術を守りたい、というのがどくんごを支える多くの方の最大の動機だったに違いありません。

どくんごは年々知名度も上がり、多くの都市でチケットも売り切れたり、満員になったりと各地からよいお知らせばかり届いていた昨今、
どくんごの旅の中止はいろいろな葛藤があっての決定だったのだと思います。
彼らとまだお話ししていないので、それはうかがい知るしかないのですが、もしきっとこのまま続けても人気もさらに出て、みんなが満足するような演劇は見せられたと思います。
しかし、どくんごのすごさは、このような非日常の幻のような体験を、彼らの日常と反復と更新によって創り出していることです。
つまり、ステージの向こう側には彼らの日常があるわけで、それがスムーズにいかなければ、どくんごという大きなシステムはきっと停滞してしまうのでしょう。どくんごというのは生活、ひいては生き方そのものだから。

再来年旅が再開するのかわかりませんが、「いつか見られたらいいなあ」と思っている方々、
たとえ再演でもいつの舞台も同じものなど二度とないのは承知の上で今年は特に、絶対見てください!!
「結局宣伝かよ」といわれるかもしれませんが見られるチャンスは残りたったこれだけなので記しておきます。


脇町 (徳島)

10/24(金)・25(土)

うだつアリーナ・多目的芝生広場


熊本

10/31(金)・11/1(土)

白川橋左岸緑地


久留米

11/5(水)

久留米市東町公園


福岡

11/8(土)・9(日)

須崎公園


宮崎

11/16(日)

KITEN広場


鹿児島

11/21(金)・22(土)・23(日)

ライオンズ広場


☆もし日にちで迷ったら、なるべく早い方で見ることをお勧めします。はまったとき、また見られる可能性があるからです!



by parttimeart | 2014-10-22 13:26 | Event

アート専門家ではないふつうの人(会社員、福岡在住)が愛と情熱だけでアート、カルチャー情報を発信するメディアです。facebookではブログにはない情報をリアルタイムで更新中☆http://www.facebook.com/parttimrart
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