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93歳の現役報道写真家・福島菊次郎さんの命をかけたメッセージ!

なんと「90歳の報道写真家」、福島菊次郎さんを追ったドキュメンタリー映画「ニッポンの嘘」自主上映会と、福島さんご本人によるトークがあるということで、福岡県春日市に駆けつけました!

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広島の被爆者、安保運動、成田闘争、水俣病、祝島原発反対運動、そして福島原発事故――・・・
1921年生まれの福島さんは、常に市民や被害者の立場から時代を見つめ続け、これまでに撮影した枚数はなんと25万枚以上。その仕事は日本の戦後史の貴重な証言です。

驚くべきは、国や体制を批判することから、自身の生き方も徹底してストイックを貫かれていることです。
国から保護を受けまいと、無人島で自給自足の暮らしを営んだり、年金も拒否して質素に暮らしたり。
暴漢に襲われ家を焼かれてもひるむことなく、天皇や戦後責任、自衛隊など、国内でタブーとされていた事柄にも切り込まれています。
現在は、体重たった37キロの、小人のようなおじいさん(しかも年齢90歳は映画撮影時点で、現在は93歳であることも明かされました!)。
しかし、福島原発事故後も被災地の第一線に向かうなど、その体のどこから湧いてくるのかわからないパワーは全く衰えを見せません。

映画は、そんな福島さんをヒーローとして描くわけではなく、淡々とその仕事と福島さんの半生、現在の飾らないそのままの暮らしぶりを伝えます。それでも福島さんのすごさを伝えるのには、ありのままで演出の必要などないほどです。


会場では写真パネル展も開かれました。

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福島さんは各地でパネル展示を続けられていて、「遺作展」と書かれた一文にはどきりとしてしまいました。
生涯をかけた、福島さんから日本、日本人への遺言のつもりなのでしょう。
白黒のコントラストの強い写真から、対象から引いた視点はまったく感じられません。被写体と同じ目線、そばに寄り添うものばかりです。
一番心に残ったのは、和服の老女が、軍服姿の若者の遺影が飾られた簡素な仏壇のそばで正座し、どこともない虚空を無表情で見やっている一枚。キャプションでは、「仏壇の横に座ったまま亡くなった女性もいた」と書かれていました。
戦争や原爆、公害問題、原発事故――、時代や境遇は違っても、被写体は一貫して、戦争や国家の都合でないがしろにされた人々です。
彼らの悲劇は隠され、放置されてきたのではないか。国は対してどうするべきなのか。
福島さんの強い問いかけには、現実から目をそらしてきた私たち自身への叱責も含まれているように感じました。


これほど、一貫して被害者の側に立っている福島さんですが、単純に安易な体制批判をしているだけではありません。
それは、映画上映後のトークでご本人のお話を聞いてよくわかりました。

社会を変革しようと、これまで数多くの市民運動を追い、自身もジャーナリストとして活動されてきた福島さん。
しかし結果として市民運動は権力に負け続けている歴史があり、現在も社会問題は解決の糸口を見いだせない状況が続いています。

なんとか世界をよくしようと一生懸命であればあるほど、変わらない現実の壁も人より知ってしまうことでしょう。落胆し、あきらめの気持ちを持つのが当たり前かもしれません。

「93年生きて今思うことは、集団で集まっても”個”が変わらなければ同じ。新しい考え、新しい行動を身に着け問題提起しなければ、民衆が変わるはずはない。その責任をとても感じます、今まで負けてきたから」と正直に述べられました。

しかし今、福島さんは「今から始まる危険な時代に、どう生きていくかが問われている」と警鐘を鳴らします。

落胆やあきらめを超え、最後に到達したという”新しい考え、新しい行動”とは・・・

「不都合や政策を人のせいにするのではなく、被害者意識をやめようではないか」
そう呼びかけられました。

「自分を確立させ、そういう人が集まる時代が動いていくのだと思う。自分のことを守るためには考え、行動を変え、政府や権力を突破できる強い意志が必要。閉塞した社会を変える唯一の行為ではないか」

会場は、福島さんの言葉に励まされたような、温かい一体感に包まれました。


福島さんはこうもおっしゃいました。
「一度くらい勝ってみたい。できるかわからないかは、やってみないとわからない」


まだまだ、福島さんの人生も、私たちの可能性も終わらないのです!


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サインに気軽に応じる福島さん。おしゃれでかっこいいです。カメラを構える鋭い視線とは異なり、とても気さくですてきな方でした。
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by parttimeart | 2013-09-29 16:22 | レポート

アート専門家ではないふつうの人(会社員、福岡在住)が愛と情熱だけでアート、カルチャー情報を発信するメディアです。facebookではブログにはない情報をリアルタイムで更新中☆http://www.facebook.com/parttimrart
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