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それでも私が「明日ママ」を支持する理由

親に捨てられた子供たちを主人公にし、1月に放映開始されるやいなや物議をかもした日テレ系ドラマ「明日、ママがいない」
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親のいない子供を受け入れる病院や児童養護施設などからの猛抗議を受け、スポンサーがCM放映を自粛するなど炎上マーケティングかと思われるほど異例の事態となっていたのもなんだか一時のブームのように、最近ではほとんど話題に上らなくなったような気がします。

視聴率をみてみると、最新の第7話が11・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、 初回14・0%、第2話13・5%、第3話15・0%、第4話13・1%、第5話11・6%、第6話11・5%(7話までの平均13・0%)と若干失速しています。 (数字はスポニチweb2/27付記事より) あの注目はなんだったのか。

しかし、ほとんど近年は連ドラを観ない私ですが、このドラマだけは観続けており、その結果、自信をもってこのドラマを応援したいと思っています。

その一番の理由は、実際多くの子供たちが親に捨てられたり、虐待されたりといった不運に見舞われている一方、子供を失って悲しみにくれたり、待ち望んでも子供に恵まれない親たちがいること、その重大な社会問題に取り組み、目を向けるきっかけとなりうる点です。

例えば施設からの抗議の中には、子供たちが、「赤ちゃんポスト」に預けられたから「ポスト」、親が恋人を鈍器で殴ったから「ドンキ」などというあだ名をつけていることが問題視されていました。 確かにひどい呼び方なのですが、ドラマを観ると、子供たち自身が本来の付けられた名前ではなく、あだ名を好んでいるように描かれています。これは、信頼のできない親にもらった名前という「過去」を捨て、一番辛いと思われる、親に捨てられたことや親が起こした事件などを現実のものとして受け入れ、それを自分のアイデンティティとして「今」を生きるという子供たちの強さを象徴していると考えられます。なのでこれは物語の重要な要素だと思います。

また、これまで笑顔と愛想を振りまいていた天使のような芦田愛菜ちゃんが、そのキャラを捨て、世を悟ったかのようなやさぐれた演技で女優魂を見せているほか、子供たちも「期待されるかわいい子供」ではなく、むしろそれを大人のために演じていたり、恋をしておませだったり、大人の都合を見透かして理解していたりという姿が子供の目線から描かれていることも評価しています。 子供は、実は大人以上に賢く現実を分かっていて、大人の都合や弱さも見ていて、どうふるまうべきかよく考えている。純粋なだけではなく、そこには打算もあざとい策略もある。彼らを「かわいそうなか弱い子供たち」としてではなく、そういう大人が目を背けたがる子供の強さやたくましさなど、リアルな心の中を描こうとしている点に好感が持てます。
それが芦田愛菜さん(←もはや敬称で呼びたいレベル)はじめ、大人顔負けに上手な子役さんたちが演じていることで、子供の主体性が際立ち、「子供が演技をする」ことが二重のリアリティをもって見えます。(ちなみにこの演技がすごすぎてもう芦田先輩(←さらに敬称)に至っては今後いかなるかわいい演技ももはや信じることができなくなりました)

  もちろんドラマですから、現実にない脚色や大げさな表現もありますが、それらを差し引いても、心を動かされる場面は私にとっては多々あるのです。 (むしろ抗議のせいで、施設長が子供に冷酷な悪人ではなくただの素直になれない声のでかい人みたいにキャラがぶれてしまっていて完成度が落ちているのが残念ですが)

とはいえ、子供たちの幸せを願って運営されている施設などが抗議するのは当然のことです。 表面的にドラマを観るだけでは誤解も生じかねませんから、「抗議」という意味で正当さをアピールすることは必要に思います。ドラマを観て辛い境遇を思い出した子供がいたり、いじめられたりすることがあるのは悲しいことです。

しかし、ドラマを制作する本来の目的は子供たちを取り巻く問題について考えさせることのはず。 現実は、もっと過酷なことがたくさん起きています。フィクションの内容がひどいというより、問題はそれが現実にあるということです。 ドラマでいじめが起こるなら、ドラマそのものより、なにかを材料にいじめを起こそうという子供たちの精神状態をケアする必要があるのではないか?そういったストレスが仮にあるのであれば、ドラマがあってもなくてもいじめは起こるのではないでしょうか?

危ういと思われる表現をすべて削ればそれでいいのか?それで伝えたいことは本当に伝わるのか?この問題に関しては慎重に考える必要があると思います。 最近は「お客様は神様」的な消費者至上主義が幅を利かせ、フォアグラ弁当しかり、福岡の「カワイイ区長」しかり、一部の人のクレームで「なんで?」と思われるようなものが中止させられてしまうケースが散見されます。抗議も来ていないのに作品を変えさせる美術館もありました。果たしてそれ健全なことでしょうか?むしろ、その風潮に危機感を覚えます。

「明日ママ」7話には、野島伸司ドラマ「家なき子」で主演した安達祐実さん(私と同年代)がママの役で芦田愛菜ちゃんと共演し、「家なき子」当時小学生だった私には時代の趨勢を見るようでなんだか感慨深いものがあったのですが、家なき子では、安達祐実さんはサーカスに売られたりお嬢様にいじめられたりと露骨にひどい目にあっていました・・・今では即放送中止レベルになるかもしれず、あれから時代は変わったなあと別の意味でも実感したのでした。

思えばあの頃はネットもなかったし、炎上も(そこまで)なかったし、テレビなどのメディアは一方向のものに近く、制作側は良くも悪くも自由に作れていたのでしょう。今はそのままの作り方ではだめで、関係機関とも緊密に話し合い、理解を得ていかなければならないでしょう。

それでも、表現したいという思いがまっとうであるならば、自信をもって貫いてほしい!
(視聴率減少も、実は話題になっていたために観ていた人が減っただけ、あるいはこのドラマは放映後1週間限定でネットで観られるので、それを見ている人が多いのではないかと思っています←私もその1人)

まあ、チョコを食べながら好きな人が振り向かな~いとか切なさにひたるより十分社会的に有意義であると思いますので、これからも応援したいと思います!!!



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by parttimeart | 2014-03-04 19:08 | コラム

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