「マイ・アート」でアートコレクターの航海に胸を熱くする!!
この頃はアートのコレクションについて考え、ギャラリストやコレクターといった各立場からの本で勉強中の初心者コレクターの私。古い本ですが「マイ・アート」読了しました。
近代、そして現代(といっても取材時は90年代)のアメリカ、ヨーロッパの現代美術コレクターたちの人生とコレクションに迫ったボリュームのある一冊です。
まさにコレクターの数だけコレクションの仕方があり、その哲学や流儀も様々。
しかし時代を超えて共通する、美術への熱意やアーティストへの純粋な共感と奉仕の姿勢には心動かされました。彼らの並々ならぬ努力と献身で培った知識や理解は単なるパトロンの域を超え、アーティストを支え、美術界に欠かせない存在となっている。そんな、表になかなか出ないコレクターに光を当てているのはとても面白く、時に人生まで狂わせるほどはまる魅力を持つコレクションの奥深さに引き込まれました。
(とはいえみなさま世界を代表するコレクターだけあり、資産家や会社経営者だったり、気に入ったアーティストの展示では一気に全部作品購入したりとか、庶民には世界が異なりすぎて真似できない…。表紙のハーブ&ドロシーが唯一の希望でしょうか。)
ただ好きで集めるだけならなにも考えなくてよいのですが、美術史において何が重要か、何が作家のマスターピースとなるのか、コレクション全体のバランスや、市場における経済的価値を持つかなどを考えるとなると、購入に際してはあらゆる知識や将来の予測を必要とする難しい選択を迫られます。また予算との折り合いもつけなければなりません。
美術作品という評価が定まりにくいものに対して身銭を切る行為は、美術館やギャラリーで鑑賞するのとは全く緊張感が違います。だからこそ面白いのです。
本書では、登場当時最先端すぎたピカソを評価するかでコレクターとしての明暗が分かれるエピソードが印象的で、誰より敏感に新しい創造性に反応できるかという審美眼もコレクターにとっては非常に問われるなと感じました。
もちろん過去の素晴らしい作品を評価し、保存することや現在の作家を支援することも重要ですが、未来の美術の先行きを読むことも大事です。コレクションをすることは、それが将来も価値を持つこと、過去から連なる美術の歴史が発展して続いていくという未来を信じることにも等しいといえるかもしれません。
コレクターとはなんと難儀な仕事なのでしょう!
作品を購入しても結局は美術館などに寄贈するなど手元に残すことはできないのに、とも思いますが、しかし私たちの洋服もクルマも時計もジュエリーも、全部お墓までは持っていけないのです。それならば人類が引き継いで、世界に残すべき美術作品と刹那の時間を一緒に過ごすのも決して無駄ではないと思います。
時代は下って、貴族や富裕層でなくてもアートを買える時代になりました。とはいえ、そもそも大金をはたいてコレクションするなんて、別にやらなくてよいのです。でもその先に広がる、美を追究する真剣な世界に足を踏みいれることは、その価値を充分に持っている。
そして常に、必死で時代を切り拓くアーティストたちがいる。だからこそコレクターたちはその冒険をやめないのではないでしょうか。
まさにコレクターの数だけコレクションの仕方があり、その哲学や流儀も様々。
しかし時代を超えて共通する、美術への熱意やアーティストへの純粋な共感と奉仕の姿勢には心動かされました。彼らの並々ならぬ努力と献身で培った知識や理解は単なるパトロンの域を超え、アーティストを支え、美術界に欠かせない存在となっている。そんな、表になかなか出ないコレクターに光を当てているのはとても面白く、時に人生まで狂わせるほどはまる魅力を持つコレクションの奥深さに引き込まれました。
(とはいえみなさま世界を代表するコレクターだけあり、資産家や会社経営者だったり、気に入ったアーティストの展示では一気に全部作品購入したりとか、庶民には世界が異なりすぎて真似できない…。表紙のハーブ&ドロシーが唯一の希望でしょうか。)
ただ好きで集めるだけならなにも考えなくてよいのですが、美術史において何が重要か、何が作家のマスターピースとなるのか、コレクション全体のバランスや、市場における経済的価値を持つかなどを考えるとなると、購入に際してはあらゆる知識や将来の予測を必要とする難しい選択を迫られます。また予算との折り合いもつけなければなりません。
美術作品という評価が定まりにくいものに対して身銭を切る行為は、美術館やギャラリーで鑑賞するのとは全く緊張感が違います。だからこそ面白いのです。
本書では、登場当時最先端すぎたピカソを評価するかでコレクターとしての明暗が分かれるエピソードが印象的で、誰より敏感に新しい創造性に反応できるかという審美眼もコレクターにとっては非常に問われるなと感じました。
もちろん過去の素晴らしい作品を評価し、保存することや現在の作家を支援することも重要ですが、未来の美術の先行きを読むことも大事です。コレクションをすることは、それが将来も価値を持つこと、過去から連なる美術の歴史が発展して続いていくという未来を信じることにも等しいといえるかもしれません。
コレクターとはなんと難儀な仕事なのでしょう!
作品を購入しても結局は美術館などに寄贈するなど手元に残すことはできないのに、とも思いますが、しかし私たちの洋服もクルマも時計もジュエリーも、全部お墓までは持っていけないのです。それならば人類が引き継いで、世界に残すべき美術作品と刹那の時間を一緒に過ごすのも決して無駄ではないと思います。
時代は下って、貴族や富裕層でなくてもアートを買える時代になりました。とはいえ、そもそも大金をはたいてコレクションするなんて、別にやらなくてよいのです。でもその先に広がる、美を追究する真剣な世界に足を踏みいれることは、その価値を充分に持っている。
そして常に、必死で時代を切り拓くアーティストたちがいる。だからこそコレクターたちはその冒険をやめないのではないでしょうか。
by parttimeart
| 2014-07-27 05:40
| Book
アート専門家ではないふつうの人(会社員、福岡在住)が愛と情熱だけでアート、カルチャー情報を発信するメディアです。facebookではブログにはない情報をリアルタイムで更新中☆http://www.facebook.com/parttimrart
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