P.T.A―Part Time Art ふつうの人が発信するアートカルチャーマガジン―

世はアートプロジェクト戦国時代へ?~国東半島で考えたアートプロジェクトに必要なものとは?(上)~

2014年秋、いわゆる「地域アートプロジェクト」が日本を覆い尽くしています。
数的にもしかしたらこのあたりがピークなのではないかという気さえします。


「アートプロジェクト」とは、ここではざっくり言って地域を舞台に展開されるアートの展示、という定義で使っていますが、
おそらく適当な地名+「アート」「アートプロジェクト」「ビエンナーレ」「トリエンナーレ」などのワードで検索すればなにか見つかるのではないかと思えるほどです。


アートが特権階級の個人な楽しみ、あるいは権威の象徴であった時代から、ギャラリー、美術館と、空間を移しながら、
アートを”開き”=”民主化”し続け、その敷居を下げようとしている美術界。

一方で、バブル崩壊後の低迷する景気、都心部への人口流出、人口減少による生産力の低下、少子高齢化で元気を失う地方の現状。

地方から見れば、国や自治体の交付金や公共工事によるてこ入れが期待できなり八方塞がりとなった最後の切り札として頼りたいのが、なんだかよく分からないけど他地域に成功例らしきものがある目新しい「アートプロジェクト」。

そしてアートの側から見れば、公共施設の予算不足や、美術マーケットの未成熟などから十分な展示機会を確保できないアーティストらが新たな展示場所を求めたのが「地域」。

水が低いところへ流れるかのような自然な出会いなのかもしれません。


私はこれまで全国のアートプロジェクトを鑑賞してきた経験から、

地域アートに必要な両輪は、
1、アートとしての質・レベルの担保と、
2、地域への溶け込み、被受容であると考えています。

アートとして最先端であっても、住民に受け入れられず、異物として歓迎されていなければ、地域で行う意味がないし、
住民との交流や観光・フィールドワーク的要素も含めた滞在経験がよいものになるはずはありません。

一方で、地域の方はとても歓迎していて楽しんでいるご様子でしたがどうも展示が厳しい……というアートプロジェクトも経験したことがあります。

「アート」を掲げるのではなくそれが地域の「お祭り」や「工作」などなら、外から私のようなアートファンがはるばる訪れてがっかりすることもないのに、と微妙な気持ちになったことも(泣)。


アートが地域に出て行く以上、地域とアートが相互に分かり合い、歩み寄ることで補い合い、相乗効果を生み出して協働的にアートプロジェクトを運営すること。

それでこそ地域とアートが一体となった、(双方にとって)”付加価値”としての「アートプロジェクト」だと思います。

 
……と、言葉で言うのはたやすいのですが、実際の運営には多大な困難が伴い、上記のように成功しているプロジェクトはおそらくきわめて少ないでしょう。


個人的には、おそらく数年内にアートプロジェクトは減少の方向に行くのではないか、少なくともこのまま増え続けることはないのではないかという気がしています。

というのは今後も経済の急好転は見込めないとすると、人寄せ的、観光目的などで行っているアートプロジェクトは持続性がなく、コンセプトや方向性の差別化も難しいので、アートプロジェクトの経年化とともに実際の集客などの統計データに明らかになるにつれ、淘汰されて消えるものも増えるのではないかと思っているからです。

集客をしたいのであれば、ゆるキャライベントやグルメイベントなどをやっていればよく、(それらは疑いなく幸せな催しですから)
アートを取り込むなら「なぜアートなのか」という、ほかの即物的なもので代替できない精神的な部分の必要性について説得ができないと存続は難しいでしょう。

アートファンとしては内心(くだらないアートプロジェクトなど滅びてしまえ!)と思わんでもないので(全部行くの大変だし)、玉石混交ぬるく存在するのもいいけど、互いに切磋琢磨するアート戦国時代の到来も結構なことと受け取っています!

というのは極論ですが、実際のところは、数はそんなに減らずにそのまま存在はしつつも、注目度やアピール効果は次第に目新しさを失い、見るべきものが減るのではないか、というのが現実的な予想です。


さて、このような「アートプロジェクト飽和時代」において、きらめく可能性を見たプロジェクトがありました。

大分県は国東半島で11月30日まで開かれている「国東半島芸術祭」です。

c0309568_18112269.jpg
(写真は同芸術祭から宮島達男氏の作品「Hundred life houses」)
ずいぶん長くなってしまったので、後半に続きます。
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by parttimeart | 2014-10-27 18:22 | コラム

アート専門家ではないふつうの人(会社員、福岡在住)が愛と情熱だけでアート、カルチャー情報を発信するメディアです。facebookではブログにはない情報をリアルタイムで更新中☆http://www.facebook.com/parttimrart
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