P.T.A―Part Time Art ふつうの人が発信するアートカルチャーマガジン―

雑誌「NO!」ブックレビューその1・「アートとは、梅干しだけの弁当に感動する心」

〜隔月発行の九州の若者向けマガジン「NO!」で連載中のブックレビューを再録しています〜

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恥の美学
(秋山祐徳太子)

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この3月に79歳にお誕生日を迎えられた著者・秋山祐徳太子(通名として使用)さんは、都知事選挙に泡沫候補(勝ち目のない候補者)として立候補したり、グリコのパッケージのキャラクター(?)に扮して街中を走ったりするパフォーマンスで有名なアーティスト。

奇抜なパフォーマンスに挑みながら、実は人一倍シャイで恥ずかしがっているという裏話など、人間味あふれる"恥的武勇伝"満載。アートの知識は全く関係なく楽しめ、「恥ずかしくて行動できない」という人の背中を全力で押してくれる一冊です。

中でも印象深いのは、終戦直後、小学校の弁当の時間のエピソード。

貧乏な友人が白米に梅干ししかおかずのない弁当しか持ってこられず、クラスメイトにからかわれていました。そこで秋山さんは「これは恐れ多くも日本の国旗なんだ。"愛国弁当"とも言って、ふつうの者には食べられないんだよ」と、いじめっこを撃退したそうです。単なる白ご飯と梅干だけの弁当は、普通に見れば貧乏でおいしくないもの。しかし、あるストーリーや意味(ここでは"愛国弁当")を付け加えることで、発想を転換し、その価値を変えることができる。常識を疑い、想像力で価値のないものをあるものに、面白くないものを面白くする。これはまさしくアートの精神だと思います(もちろん、当時の秋山少年は意識していなかったでしょうが)。たとえば誰でも描けそうな抽象画、意味不明に並べてある物体(美術ではインスタレーションといいます)などは、一見なんの価値もないように見えるかもしれません。でも作家のこめた思いを知ると、作品は違うものに見え、さらに世界の見方や自分の価値観まで変えてくれることがある。アートにはそんな力があるのです。

秋山さんはこういいます。「美術によって、妙な権威や価値観を取り除くというのが、私の信条である」

ほら、美術って、生きるって面白いでしょ?


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↑雑誌では未公開のおまけコーナー、わがやの「ブリキ招き猫」たち、そして秋山さんのサインです!

実はこのレビュー執筆時はご本人とお会いしたことはなかったのですが、このあと福岡市での個展で感激の初対面を果たしました!! 本のままのユーモアにあふれ素敵な方でした! いつまでもお元気でいてほしいです!(ただのファン)
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by parttimeart | 2014-12-12 04:03 | Book
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